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CVD反応分科会奨励賞

 2020年9月24〜26日に開催された(公)化学工学会第51回秋季大会シンポジウム「CVD・ドライプロセス ―構造・機能制御の反応工学―」(当分科会主催)にて発表された20件の講演から,優秀な発表をされた下記2名の若手研究者の方に,CVD反応分科会奨励賞を授与することを決定致しました。本奨励賞の規約につきましては,こちらをご参照ください。

化学工学会反応工学部会CVD反応分科会
令和2年度 奨励賞

若手奨励賞
藤原 翔(山形大学)
「火炎噴霧熱分解法によるNi担持CeO2のNi微粒化と高担持量化」
選定理由:水素社会実現に向けてH2の貯蔵・運搬リスク低減のため,低温でH2とCO2を反応させCH4化する反応が注目されている。本反応に用いられる触媒としては,一般的にNiよりRuの方が,低温活性が高いことが知られている。しかしRuは高価なため,Ni触媒の低温活性改善が望まれている。藤原氏は火炎噴霧熱分解法により,5 nm程度のCeO2微粒子に担持したNiの微粒化(10〜20 nm)と高担持量化(60 wt%)を同時に達成可能であることを見出した。これによりNi触媒では活性が低かった200〜250 ℃の温度域で,高いCO2転化率(10〜90 %)を達成した。またNi担持量の増加に伴いCeO2担体の粒子径が減少することで,CeO2の低温還元特性が改善したことも触媒の高性能化に寄与する可能性を示唆した。本研究では含浸法等の既存手法では極めて困難な高担持量化と微粒化の両立を,工業化実績がある気相法によって解決した研究である。また本アプローチはNi/CeO2以外の触媒にも広く応用可能と期待されることから,CVD反応分科会奨励賞に相応しいと判断し,若手奨励賞を授与する。

学生奨励賞
安井 浩太郎(早稲田大学)
「X線管用カーボンナノチューブ電界放出電子源の作製と階層構造制御」
選定理由:電界放出電子源はX線撮影装置の小型化を可能とし,医療・設備保守・セキュリティなど多様な応用が期待される。安井氏は,カーボンナノチューブ(CNT)の簡易な形態制御合成による電界放出電子源の開発に取り組んだ。異方性エッチングでシリコン基板表面にテクスチャを形成,スパッタで触媒を担持,CVDでCNTを合成,Ag-Cu合金を蒸着しCu台座にろう付けする方法で,ピラミッド形状に形態制御されたCNTエミッタを有機物フリーで実現した。CNT合成原料として反応活性の高いアセチレンを低分圧で用いると,反応器位置によってアセチレン濃度が変わり膜厚分布を生じる。低活性なエチレンを高濃度供給して均一成長を実現,実験的に表面反応速度定数を求め,気相拡散と表面反応を組み込んだ二次元モデルにより膜厚分布も再現した。この電子源は6〜10 mA/cm2の電流密度を200〜1000サイクル安定して実現した。本研究は反応工学をベースに,高度な階層構造制御と実用性能を簡易なプロセスで実現したものであり,CVD反応分科会奨励賞に相応しいと判断し,学生奨励賞を授与する。

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