2021年9月22〜23日に開催された(公)化学工学会第52回秋季大会シンポジウム「CVD・ドライプロセス ―構造・機能制御の反応工学―」(当分科会主催)にて発表された17件の講演から,優秀な発表をされた下記の若手研究者の方に,CVD反応分科会奨励賞を授与することを決定致しました。本奨励賞の規約につきましては,こちらをご参照ください。
化学工学会反応工学部会CVD反応分科会
令和3年度 奨励賞
若手奨励賞
(早大理工総研) 李 墨宸
「Enhanced CO2-assisted growth of single-wall carbon nanotube arrays with Fe/AlOx catalyst annealed without CO2」
選定理由:単層カーボンナノチューブ(単層CNT)は,エレクトロニクス,電池材料,軽量導線など多様な応用が期待されているが,合成の質・量の進化が実用上の課題である。炭化水素等を原料に金属ナノ粒子触媒を用いた化学気相成長(CVD)法により基板上でのミリメートル長尺成長が実現されている。グループでは原料にマイルドな酸化剤である CO2を 1 vol% 程度添加することで,大面積に均一に単層CNTの長尺成長を実現した。李氏は,このCO2アシストCVD法において,Fe/AlOx触媒の水素雰囲気での還元の際にCO2無添加にすると,単層CNTの成長が,長さで1.5倍,質量で2倍も促進されることを発見した。還元処理時にCO2が共存するとFeが部分的に酸化された状態でAlOx下地層に拡散してCVD時のFe触媒の寿命が低下すること,CO2フリーで還元すると還元されたFeがAlOx表面に留まり触媒寿命が大きく伸びることを見出した。酸化剤フリーで触媒を還元し,CVDでは酸化剤添加で副生炭素を除去しつつCNTを合成する方法が最良と明らかにした。本研究は偶然の発見を丁寧に多面的に解析して機構解明し,単層CNT合成の高度な制御と大幅な収量向上を実現したものであり,CVD反応分科会奨励賞に相応しいと判断し,若手奨励賞を授与する。
学生奨励賞
該当なし
令和2年度 若手奨励賞(山形大 藤原 翔)・学生奨励賞(早大 安井 浩太郎)
令和元年度 若手奨励賞・学生奨励賞の選考なし(APCChE 2019開催のため秋季大会は開催されず)
平成30年度 若手奨励賞・学生奨励賞(早大 並木 克也,京大 牧野 優作)
平成29年度 若手奨励賞(早大 杉目 恒志)・学生奨励賞(東大 佐藤 宏樹)
平成28年度 若手奨励賞・学生奨励賞(早大 永井 款也,早大 青井 慈喜)
平成27年度 若手奨励賞・学生奨励賞(東大 嶋 紘平,早大 山崎 悠平)(次点 東大 佐藤 登,早大 大川 朝陽)
平成26年度 若手奨励賞・学生奨励賞(東北大 中安 祐太,東大 Zhao Yu)
平成25年度 若手奨励賞(岐阜大 西田 哲)・学生奨励賞(東大 陳 忠明,東大 李 重昊)
平成24年度 若手奨励賞(東大・大陽日酸 清水 秀治)・学生奨励賞(東北大 矢中 美紀,東大 小坂 昌輝)
平成23年度 若手奨励賞(東大 百瀬 健)・学生奨励賞(東大 福島 康之,東大 増田 竜也)